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「生きる。 東日本大震災 生き残りし者の記」 工藤幸

久々に読書メモ。

3.11からの日々をつづった手記。
著者は高校教師。次男は亡くなり、妻は行方不明。二人の息子さんと避難所に行ったり親戚の家に行ったりしながら震災後の生活を送った。

未曽有の大震災のことを記録すべく、淡々と書かれている。避難所の様子、知人との会話、食べたもの。そんな中に、行方の分からなくなった次男と妻を探すつらい様子が見えたり、物資などを提供してくれる人々への感謝の気持ちがあったり。

時間が経ってから書こうとすると、きっともっと大袈裟な表現を使ったり感傷的になったりするんじゃないだろうか。その時、その場で書いたからこそ伝わってくるものがある。ただただ目の前の問題を片付けて先に進む。時折襲ってくる悲しみに涙し、でも立ち止まっていられないからご飯を食べ、住む場所を探し、仕事の段取りをつけ、学校が始まれば子供の弁当を作る。。。

死者、行方不明者あわせて約2万人。その2万人の家族、友人それぞれにこんなストーリーがある。悲しみと、そこからの再生。
頑張れ、頑張ろうなんて簡単には言えない。でも、ただ生きていてほしい。あの日助かった命を大切に、生き続けてほしい。

★★★

生きる。―東日本大震災‐生き残りし者の記

工藤 幸男 / 日本文芸社


by studio-yaya | 2012-09-06 11:24 |  

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