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「累犯障害者」 山本譲司 著

Chikirinの日記で紹介されていた本。
ずっしりと重い事実。メディアに取り上げられることのない事実が次々と。

著者は国会議員として活動していた人。秘書給与の問題で逮捕され、刑務所で過ごした日々の経験をつづった「獄窓記」が以前出版され、ドラマにもなっていた。
この本は、同じく刑務所で見てきた事実と、出所後の活動の中で見てきたものをまとめたもの。

知的障害者の犯罪者。
家族から見放され、福祉サービスからも無縁で暮らす人もいるんだって。軽犯罪で捕まり、刑務所に送られ、身元引受人がいないから仮出所できず、刑期を終えて出所したところで住む場所も働く場所もなくて、結局「自分の居場所はここしかない」とまた犯罪を犯して刑務所に戻る。とか。

聴覚障害者の犯罪。
加害者も被害者も聴覚障害者、というケースがあるのだと言う。メディアでは取り上げない。メディアは事件が起きると騒ぎ立てるけど、加害者が障害者と分かると鳴りをひそめる。だから、報道されない。


。。。なんというか。。。知らなかった事実がたくさんあり、正直にわかには信じがたい。自分が健康でまともな環境に生まれついたおかげで、こういう世界があることは知らずに済んでいた。このまま知らなくても多分自分は生きていける。困ることは何もない。
でも、やっぱ知っておいて損はないんじゃないかと思う。

笑顔で家族と暮らす障害者。パラリンピックやスペシャルオリンピックスで活躍する障害者。努力して健常者と同じ学校に通う障害者、働いて自立を目指す障害者。。。テレビや本で見る障害者の姿は、そういうのばかりだ。でも、そうでない人が実際にはいる。無知や貧困や虐待や、いろんなものの中で暗闇に追いやられている人達。

著者は、たまたま刑務所に行ったことでそういう事実を知った。逮捕されず国会議員を続けていたら知らなかったであろう事実。
無知、無力ゆえに彼ら自身の言葉はどこにも表わされることがなかった。それを著者はこうして本にした。ずっしり重い内容だけど、価値ある本じゃないかと思う。

★★★★★

累犯障害者 (新潮文庫)

山本 譲司 / 新潮社


by studio-yaya | 2010-11-10 20:56 |  

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