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「しがみつかない生き方」  香山リカ 著

すごく話題になったらしい、香山リカさんの本。

臨床医である著者だから書ける、今社会で起こってるいろんな現象と、それに傷ついて心を病む人たち。そこから導き出した、まあまあの幸せ、普通の幸せのための法則。

おもしろい。話題になったというのも納得。

欲しいのは普通の幸せ。贅沢言ってるわけじゃないはず。なのに、その幸せが手に入らない。または、手に入ってるはずなのにそれを実感できない。それが消えてしまうことが心配でたまらない。

心配しすぎちゃいけないよ。大切なことはたくさんあるけど、それに「しがみつかない」方が良いよ。失った時の傷が大きいからね。
とこの本は言っているように感じる。
何かに全てを賭けるのもアリだけど、失った時のショックが大きい。大抵の人はそのショックに耐えられないんだから、あまりにそれを大きく考えるのは止めようよ、傷つくのを避けようよ、と言っているのかな。一昔前なら全身全霊で当たることが素晴らしかったかもしれないけど、今は傷つかないよう「これが私の全てじゃない」と予防線を張っておくことが大事みたい。逃げ道を作っておくのは卑怯かもしれないけど、逃げ道がなくて心を病んでしまうより、ちょっと逃げ道を使って一休みできる方がよっぽどましだろう。


この本では10個の法則をあげている。
10個目に「勝間和代を目指さない」とあがってたのには笑った(^^; 勝間さんと香山さんは対談したりしてちょっと話題になってたらしいので。
例えば勝間さんは「断る力」を持ちましょうと言っている。でも香山さんは、断るほど仕事のオファーが殺到するような人、断る力が必要な人ってどれほどいるのか?と冷静に言う。それよりも誰からも依頼がない時に自信を喪失したりせず静かに待つ力の方が必要じゃないか、と。
ごもっとも。
有能で環境に恵まれた人だけじゃないのだ。ごく普通の能力の人、ぱっとしない環境の人、大した資産もない人が世の中の大半だ。勝間さん的法則だのポジティブシンキングだの自分磨きだのが常に有効なわけじゃない。勝間さんは「努力は報われる」と言うけど、誰もが成功するなんて限らない。「努力は報われる」と信じてると、上手くいかないのは自分の努力が足りないせいなのか、と自分を責めてしまう。でも、そうじゃない。努力は常に報われるとは限らない。ちょっとした環境やタイミングの巡りあわせでうまく行ったり行かなかったりするものだ。

きれいごとじゃうまくいかない。
ポジティブシンキングじゃうまくいかない。
でもそれでいいんだよ、大抵の人は0点でも100点でもない平凡な生活を生きてるんだから。
そう言ってくれる本。

「しがみつかない生き方」

しがみつかない生き方―「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)

香山 リカ / 幻冬舎


by studio-yaya | 2010-05-28 08:55 |  

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