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「欲張りすぎるニッポンの教育」  苅谷剛彦、増田ユリヤ 著

痛いところを突かれました。
親は不安だ。何をどれだけやればいいのか分からなくて、不安だ。だから子ども達に勉強、塾に習い事とあれもこれも与えようとする。できるだけのものは与えて、安心しようとする。

そうなんだよなぁ。

できることはしてあげたい。というか、しないでいることが不安。失敗したくないから成功マニュアルが欲しくなり、良いと噂のことがあると手を伸ばしてしまう。


自分の子ども時代を考えれば、幼稚園とかそんな小さな頃から習い事を掛け持ちしてる子なんていなかった。塾だって皆が行ってるわけじゃなかったし、そもそも全国規模の大手学習塾なんて地元にはなかったし、小学校受験も中学受験もほとんどの人には無縁のことだった。地方都市なんてそんなもんだ。

でもそれは30年も前の地方都市のこと。
今東京にいて、習い事だお受験だと忙しいなんて話を聞いて、私には判断できない。これが30年前と今の違いなのか、地方と東京の違いなのか。そして、他国の教育法を褒めて自国の教育法をけなすような風潮があるけど、それも本当のことなのか。

学力テストで世界トップになったフィンランド。小学校の授業数は日本より少ないくらいで、教師のレベルが高く、素晴らしい環境のように伝えられている。でも高校に進学する時点で子供達は進路をある程度決めなくちゃいけないし、高校では5週間の授業と1週間のテスト期間の繰り返し、単位を取れなかったら落第という厳しいカリキュラムが続くのだとか。
詰め込み教育が批判されるけど、掛け算を20の段くらいまで暗記させられるインド式教育が注目されたりもする。インドからは理数系に強い学者、医師、IT系エンジニアが多く輩出されているから。

それぞれの国に、長所短所がある。でもそれぞれの国が「うちの国はこれでいく」と自信を持っている(恐らく)。日本にないのはその自信じゃないだろうか。戦争を経て、戦前のシステムは全部崩れ、あれもこれもアメリカ式を取り入れてきた。でも本当はそれは日本には合ってなかったんじゃないか? 日本が昔からやってきたことも正しかったんじゃないか? あの国も素晴らしいらしい、あっちも良いらしい。。。と迷っていて、ゆとり教育を謳ってみたり、また指導項目を増やしてみたり。
これでいく、とはっきりしてくれないと。国も、教師も、親も。

英語教育についても触れられている。
英語をやるのは良いこと。でも、そのために他の授業を減らしてもいいのか?というのは議論されていないんじゃないか?と。そうなのよね、日本語がハンパで英語ができても意味がない。日本語もきちんとできた上での、外国語だ。


隣を横目でのぞき、自分の道を確かめる。。。学校や親がそんな状態じゃ、教育を受ける子どもは落ち着かないことだろう。本当に必要なものが何か、考えなくては。

★★★★★
「欲張りすぎるニッポンの教育」

欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)

苅谷 剛彦 / 講談社


by studio-yaya | 2010-03-16 00:54 |  

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